Q.中国での価格設定の際の留意点を教えてください
A.
私たちがアドバイスする一般的な内容について以下に記載しますので、参考になさってください。
①中国へ輸出、市場で販売するまでの経費を考慮します
中国での小売価格を設定するには、必要な流通経費と為替レートを考慮しなければなりません。流通経費は、a)日本での輸出諸経費、b)輸送費・保険料、c)中国での輸入諸経費、d)関税、e)増値税、f)中国国内販売のための各種(許認可、ラベル作成等)、g)貿易会社・代理商・小売業者などです。輸出に関する経費は物量によって、その他のコストは流通ルートによって大きく変動してきます。
②輸出商品の中国販売価格の目安
日本の定価の1.5~3倍、FCA価格(FOB価格)の4.5~5.5倍が目安と言われますが、私がサポートしたケースでは、中国の定価が日本の定価の3倍以上、FCA価格の8倍以上になることもありました(それでも売れています)。また、定価を定めても売れるのはセールの時期のみで、実際の消費者への販売価格は定価から1.5~2割引いた価格だったりすることもありますので、販売価格についてそのあたりの事情も考慮する必要があります。定価をあまり低く設定すると、百貨店等からセールの際に協力を求められた際に採算が合わなくなるので注意が必要です。
③まずはテスト販売を
一旦現地での販売価格を設定すると、直近の為替レートが変動したからといってすぐに価格に反映させることはできません。設定した価格が消費者に受け入れられるかどうか、まずはテスト販売をします。店頭に並べてから商品が消費者から認知されるのは少なくとも3か月はかかります。根気強く市場の反応を見ていきましょう。はじめは売れなくとも、一旦定めた定価を変えずに店頭でのディスプレイやPOPを工夫しながらどれだけ売れるか様子を見ます。なかなか売れない場合も、価格に問題があるとすぐに結論付けずに、商品に見合った売場なのか、店頭で消費者が商品を認識できているかなども、合わせて検討しましょう。
④販売価格を下げる努力と高くても売れるようにする工夫
輸出に際して必要経費が掛かるため、どうしても日本での販売価格より高くなってしまいます。中間マージンを抑える、FCA価格(FOB価格)を下げるなどの販売価格を下げる努力だけでなく、高くても売れるようにするための工夫も必要です。高額商品が売れる売り場を確保し、広告等でブランドイメージを高め、パッケージやPOPなどを駆使して商品の付加価値を消費者に分かりやすく説明をすることで売り上げが伸びるケースもあります。